寺宝「双頭蓮」
善光寺東海別院は別名「祖父江の善光寺」として有名なのですが、そのロマンチックな由来を少しご案内しましょう。その昔、明治の頃は善光寺東海別院の境内は蓮田でした。蓮田とは“れんこん”を栽培する畑のことです。祖父江のすぐ隣の愛西市(旧立田村)は“れんこん”の出荷が盛んなところで、お正月のおせち料理にそのほとんどが使われるそうです。ちなみに祖父江(そぶえ)の地名は江=川のほとりに祖父(そぶ)=水が流れず、溜まる所という意味からついたそうですから、昔はそこら中に蓮田があったようです。その蓮田に明治42年、43年と続けて、蓮の花が1本の茎から2つの花が咲くという珍しいことがおきました。それも1本や2本ではなく、蓮田一面にその花が咲いたそうです。蓮の花はよく仏さまに喩えられます。その仏の花が2つに分れて咲くということは、仏さま自身がお分れになりこの土地においでになる前ぶれと解釈し、信州善光寺さまよりご分身の善光寺如来さまをお迎えした訳です。ゆえに善光寺東海別院は、山号を双蓮山(そうれんざん)いいます。双蓮(2つの蓮)の花が咲いたご縁で建立された善光寺さんなのです。なんとも、ロマンチックな話だと思いませんか?
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