過日、3月12日に東京の明治大学において「日本の絵解き」サミットが開催されました。「絵解き」とは絵軸や絵巻を使い、社寺の縁起の話を独特の語り口調をつけて語る節談説教のことを言います。鎌倉時代以降、専従の宗教者によって一般向けに行われ、近世・近代を通じて命脈を保ってきました。物語性のある絵画と語りとが一体化した「絵解き」はテレビなどがない時代、文字の読めない多くの人々の間にあって、人生観や世界観を醸成する重要なビジュアルコミニュケーションの手段・方法であったといいます。従来の説教や法話に比べ娯楽的要素が多分に含まれる「絵解き」は台本にない解説が臨機応変に加えられるなど、一回性ながらアドリブの面白さもあり、日本中のいたるところでみられたそうです。今回の「日本の絵解き」サミットは明治大学と那智勝浦町観光地魅力アップ推進委員会が主催となり、明治大学アカデミーホールにて開催されました。
ほぼ満席状態で、当日は1000人以上の人が講座を聞きにおいでになりました。
絵解き研究会代表の明治大学教授、林雅彦先生(左側)と早稲田大学教授で甲斐善光寺の前住職の吉原浩人先生(右側)です。林先生は善光寺東海別院の「善光寺如来絵伝」の「絵解き」の復活に大変なご尽力を頂いた大恩人です。現在も絵解き研究会を通じてお世話になっています。また、吉原先生は「善光寺縁起」研究の第一人者としてご活躍されさています。今回もその研究成果として「善光寺縁起」の登場人物の「如是姫」について新しい学説をご提示されました。
当日は高野山刈萱堂の大川正雄氏の「刈萱道心石童丸御親子御絵伝」や娘道成寺で名高い天音山道成寺副住職小野俊成師の「道成寺縁起」の絵解き講演にまじり善光寺東海別院副住職夫人の林麻子も「善光寺如来絵伝」の「絵解き」を行いました